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ウシの特徴として、2つに割れた[[蹄]]や、[[反芻胃]]をもち、[[角]]を有するものが多い。また反芻動物は上顎の切歯と犬歯がなく、かわりに[[歯床板]]がみられる。
ウシの特徴として、2つに割れた[[蹄]]や、[[反芻胃]]をもち、[[角]]を有するものが多い。また反芻動物は上顎の切歯と犬歯がなく、かわりに[[歯床板]]がみられる。
日本では、牛肉の英名はbeef(ビーフ)一択であるが、欧米では、子牛肉を英語でveal(ヴィール)、フランス語でveau(ヴォー)、イタリア語ではvitello(ヴィテッロ)などと呼び分けている。子牛肉は、柔らかさや希少性から高値で取引されるが、わが国においては、子牛で出荷するよりも成牛で出荷した方が利益が出るため、生産量が少なく、ほとんど流通していないのが現状である。


== 家畜化の歴史 ==
== 家畜化の歴史 ==
今から8千年ほど前に、西アジア(イラン高原北部)周辺で、野生のウシであった[[オーロックス]](原牛)を飼い慣らして、まず食用(肉用)として家畜化し、やがて乳用や役用としても利用、改良されていったと考えられている。熱帯地方にはインドで家畜化された''Bos Indicus''が、温帯地方にはヨーロッパで家畜化された''Bos taurus''が多く存在する。
今から8千年ほど前に、西アジア(イラン高原北部)周辺で、野生のウシであった[[オーロックス]](原牛)を飼い慣らして、まず食用(肉用)として家畜化し、やがて乳用や役用としても利用、改良されていったと考えられている。熱帯地方にはインドで家畜化された''Bos Indicus''が、温帯地方にはヨーロッパで家畜化された''Bos taurus''が多く存在する。


用途に応じて、乳用、肉用、役用として改良されてきた。[[肉用牛]]は、前駆も後躯も肉付きがよくなるように、真横から見ると長方形の豊かな体躯をもつのに対し、[[乳用牛]]は肉用牛に比べて痩せているが、後躯の[[乳房]]が発達した台形の体型をもつ。逆に[[役用牛]]は、農耕や運搬に適するように前駆が発達した台形の体型をしている。
用途に応じて、乳用、肉用、役用として改良されてきた。肉用牛は、前駆も後躯も肉付きがよくなるように、真横から見ると長方形の豊かな体躯をもつのに対し、乳用牛は肉用牛に比べて痩せているが、後躯の[[乳房]]が発達した台形の体型をもつ。逆に役用牛は、農耕や運搬に適するように前駆が発達した台形の体型をしている。
また、飼養地域に合うようにも改良され、北部のウシは寒さに強いことや、粗食や粗放に耐えるのに対して、南部は暑さに強く、ダニなどの害虫や熱帯特有の病気に抵抗性をもつといった特徴がある。
また、飼養地域に合うようにも改良され、北部のウシは寒さに強いことや、粗食や粗放に耐えるのに対して、南部は暑さに強く、ダニなどの害虫や熱帯特有の病気に抵抗性をもつといった特徴がある。


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# 肉用種<br>[[ヘレフォード]]、[[アバディーンアンガス]]、[[シャロレー]]など世界各地にさまざまな品種が飼育されている。
# 肉用種<br>[[ヘレフォード]]、[[アバディーンアンガス]]、[[シャロレー]]など世界各地にさまざまな品種が飼育されている。
# 乳用種<br>[[ホルスタイン]]、[[ジャージー種|ジャージー]]などがあり、ホルスタインはわが国だけでなく世界的にもっとも多く飼育されている。
# 乳用種<br>[[ホルスタイン]]、[[ジャージー]]などがあり、ホルスタインはわが国だけでなく世界的にもっとも多く飼育されている。
# 役用種<br>中国原産の[[黄牛]]など。
# 役用種<br>中国原産の[[黄牛]]など。
# 兼用種<br>乳肉兼用種としては、[[シンメンタール]]や[[デイリーショートホーン]]など、役肉兼用種として[[キアニナ]]、[[韓牛]]など、乳肉役兼用種としては[[ノルマン]]がある。わが国の[[和牛]]も戦前は役肉兼用であったが、現在はほぼ肉専用である。
# 兼用種<br>乳肉兼用種としては、[[シンメンタール]]や[[デイリーショートホーン]]など、役肉兼用種として[[キアニナ]]、[[韓牛]]など、乳肉役兼用種としては[[ノルマン]]がある。わが国の[[和牛]]も戦前は役肉兼用であったが、現在はほぼ肉専用である。
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== 身体各部の名称(関連図) ==
== 身体各部の名称(関連図) ==
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=== 外貌 ===
=== 外貌 ===
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=== 消化器(全体)===
=== 消化器 ===
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=== 枝肉分割方式(外側) ===
=== 枝肉分割方式(外側) ===
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2023年10月23日 (月) 21:36時点における最新版

ウシ
ウシ
アバディーンアンガス(雄)
(独)家畜改良センター提供
読み うし
英語表記 cattle(家畜のウシ),bovine(ウシ属の動物)
学名 Bos taurusBos Indicus(ゼブー)

ウシ(うし)は、狭義では家畜のウシを指し、鯨偶蹄目ウシ科ウシ属の動物をいう。広義にはウシ亜科 (subfamilia Bovinae) のアフリカスイギュウ属、アジアスイギュウ属、ウシ属、バイソン属などを含めた総称にも使われる。

ウシの特徴として、2つに割れたや、反芻胃をもち、を有するものが多い。また反芻動物は上顎の切歯と犬歯がなく、かわりに歯床板がみられる。

日本では、牛肉の英名はbeef(ビーフ)一択であるが、欧米では、子牛肉を英語でveal(ヴィール)、フランス語でveau(ヴォー)、イタリア語ではvitello(ヴィテッロ)などと呼び分けている。子牛肉は、柔らかさや希少性から高値で取引されるが、わが国においては、子牛で出荷するよりも成牛で出荷した方が利益が出るため、生産量が少なく、ほとんど流通していないのが現状である。

家畜化の歴史

今から8千年ほど前に、西アジア(イラン高原北部)周辺で、野生のウシであったオーロックス(原牛)を飼い慣らして、まず食用(肉用)として家畜化し、やがて乳用や役用としても利用、改良されていったと考えられている。熱帯地方にはインドで家畜化されたBos Indicusが、温帯地方にはヨーロッパで家畜化されたBos taurusが多く存在する。

用途に応じて、乳用、肉用、役用として改良されてきた。肉用牛は、前駆も後躯も肉付きがよくなるように、真横から見ると長方形の豊かな体躯をもつのに対し、乳用牛は肉用牛に比べて痩せているが、後躯の乳房が発達した台形の体型をもつ。逆に役用牛は、農耕や運搬に適するように前駆が発達した台形の体型をしている。 また、飼養地域に合うようにも改良され、北部のウシは寒さに強いことや、粗食や粗放に耐えるのに対して、南部は暑さに強く、ダニなどの害虫や熱帯特有の病気に抵抗性をもつといった特徴がある。

ウシの分類

用途による分類

おもに肉用、乳用、役用の3つのタイプに分類されるほか、乳肉兼用、役肉兼用、乳肉役兼用といった兼用種が存在する。しかし、近年は機械化により役用の用途は激減し、それにともない肉または乳の専用種になっていることが多い。

  1. 肉用種
    ヘレフォードアバディーンアンガスシャロレーなど世界各地にさまざまな品種が飼育されている。
  2. 乳用種
    ホルスタインジャージーなどがあり、ホルスタインはわが国だけでなく世界的にもっとも多く飼育されている。
  3. 役用種
    中国原産の黄牛など。
  4. 兼用種
    乳肉兼用種としては、シンメンタールデイリーショートホーンなど、役肉兼用種としてキアニナ韓牛など、乳肉役兼用種としてはノルマンがある。わが国の和牛も戦前は役肉兼用であったが、現在はほぼ肉専用である。

原産地による分類

ヨーロッパ系とアジア系の分類がある。

  1. ヨーロッパ系
    アバディーンアンガス、ピンツガウエル、ホルスタイン、ガンジーなどBos taurusに分類されるもの。
  2. アジア系
    Bos Indicusゼブーを中心に、ブラーマンカンペンセンのようなBos IndicusBos taurusとの交雑種、そしてBos taurusの黄牛、韓牛、和牛などがある。和牛は黒毛和種褐毛和種日本短角種無角和種の4品種がある。

英語の呼称

年齢や状態などにより英語の呼称が変わる。以下に例を示す。
(参考:FAO Vocabularium, Animal Husbandry 1959)

総称 cattle,bovine
成畜 :bull
(経産):cow
(未経産):heifer, quey
子畜 一般:calf
雄子:bull calf
雌子:cow calf, heifer calf, quey calf
去勢畜 去勢雄 (一般):bullock
(成畜で去勢):stang
(子畜で去勢):steer, stot
去勢雌:spayed cow
用途 乳牛 (一般):dairy cattle
搾乳牛):dairy cow, milk cow
肉牛 (一般):beef cattle
(発育段階別):veal calf, baby beef, beefling, yearling, prime bullock
肥育牛 (一般):fattening cattle, feeding cattle
(若齢,脂肪沈着前):store cattle
(肥育用素牛):feeder cattle
役牛:draught ox(draughtの代わりに、draftを用いることもある)
状態 妊娠牛 (一般):in calf cow
(初産次):cow-heifer
空胎牛:empty cow
乾乳牛:dry cow
泌乳末期牛:stale cow

身体各部の名称(関連図)

外貌

https://animalwiki.yokendo.com/images/5/5a/%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%81%AE%E5%A4%96%E8%B2%8C.svg

体尺測定部位

https://animalwiki.yokendo.com/images/f/fb/%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%81%AE%E4%BD%93%E5%B0%BA%E6%B8%AC%E5%AE%9A%E9%83%A8%E4%BD%8D.svg

消化器

https://animalwiki.yokendo.com/images/8/89/%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%81%AE%E6%B6%88%E5%8C%96%E5%99%A8%EF%BC%88%E5%85%A8%E4%BD%93%EF%BC%89.svg

雌性生殖器(正面)

https://animalwiki.yokendo.com/images/a/ad/%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%81%AE%E9%9B%8C%E6%80%A7%E7%94%9F%E6%AE%96%E5%99%A8%EF%BC%88%E6%AD%A3%E9%9D%A2%EF%BC%89.svg

雌性生殖器(側面)

https://animalwiki.yokendo.com/images/f/f6/%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%81%AE%E9%9B%8C%E6%80%A7%E7%94%9F%E6%AE%96%E5%99%A8%EF%BC%88%E5%81%B4%E9%9D%A2%EF%BC%89.svg

乳房

https://animalwiki.yokendo.com/images/2/2c/%E4%B9%B3%E6%88%BF.svg

雄性生殖器

https://animalwiki.yokendo.com/images/a/ab/%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%81%AE%E9%9B%84%E6%80%A7%E7%94%9F%E6%AE%96%E5%99%A8.svg

骨格

https://animalwiki.yokendo.com/images/f/f4/%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%81%AE%E9%AA%A8%E6%A0%BC.svg

蹄(裏)

https://animalwiki.yokendo.com/images/2/29/%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%81%AE%E8%B9%84%EF%BC%88%E8%A3%8F%EF%BC%89.svg

蹄(横)

https://animalwiki.yokendo.com/images/5/5b/%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%81%AE%E8%B9%84%EF%BC%88%E6%A8%AA%EF%BC%89.svg

枝肉分割方式(外側)

https://animalwiki.yokendo.com/images/a/a3/%E3%82%A6%E3%82%B7%E6%9E%9D%E8%82%89%E5%88%86%E5%89%B2%E6%96%B9%E5%BC%8F%EF%BC%88%E5%A4%96%E5%81%B4%EF%BC%89.svg

枝肉分割方式(内側)

https://animalwiki.yokendo.com/images/1/18/%E3%82%A6%E3%82%B7%E6%9E%9D%E8%82%89%E5%88%86%E5%89%B2%E6%96%B9%E5%BC%8F%EF%BC%88%E5%86%85%E5%81%B4%EF%BC%89.svg

皮革の裁断部位

https://animalwiki.yokendo.com/images/2/2b/%E7%9A%AE%E9%9D%A9%E3%81%AE%E8%A3%81%E6%96%AD%E9%83%A8%E4%BD%8D.svg
このページを版も含めて参考文献として引用する場合は、
日本畜産学会編. "ウシ - 畜産用語辞典." Internet: https://animalwiki.yokendo.com/index.php?curid=5891&oldid=12752, 2023-10-23 [2024-11-23].
を使用してください[注 1]
https://animalwiki.yokendo.com/wiki/ウシ
のようにすると、内容が変更された場合など、正しくない引用となる可能性があるので注意してください。


  1. 一例として、IEEE Citation Style GuideWorld Wide Web 形式
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