乳等省令

From 畜産用語辞典
乳等省令
読み にゅうとうしょうれい
英語表記 Ministerial Ordinance Concerning Compositional Standards, etc.for Milk and Milk Products

乳等省令(にゅうとうしょうれい)は、「乳および乳製品の成分規格等に関する省令(厚生労働省令)」の略。牛乳乳製品の分類や成分に関する規格とその試験法が定められている。

乳等省令によるおもな成分規格一覧

検査は乳固形分(%)、無脂乳固形分(%)、乳脂肪分(%)、糖分(%)、水分(%)、比重(15℃)、酸度(乳酸%)、細菌数(1mLまたは1gあたり)、大腸菌群の有無(陽性/陰性)、殺菌温度(℃)、殺菌時間(分)、保存基準(℃)の12項目があり、このうち各品目に必要な項目のみを示す。

を以下に示す。

生乳・牛乳・特別牛乳

ジャージー以外

種類 無脂乳固形分(%) 乳脂肪分(%) 比重(15℃) 酸度(乳酸%) 細菌数[1](1mLあたり) 大腸菌群 殺菌温度[2](℃) 殺菌時間(分) 保存基準[3] (℃) 備考
生乳 1.028~1.034 0.18以下 400万以下
牛乳 8.0以上 3.0以上 1.028~1.034 0.18以下 5万以下 陰性 63~65 30 10以下
特別牛乳 8.5以上 3.3以上 1.028~1.034 0.17以下 5万以下 陰性 63~65 30 10以下 特別牛乳さく取処理業の許可を受けた施設で処理すること

ジャージー

種類 無脂乳固形分(%) 乳脂肪分(%) 比重(15℃) 酸度(乳酸%) 細菌数[1](1mLあたり) 大腸菌群 殺菌温度[2](℃) 殺菌時間(分) 保存基準[3](℃) 備考
生乳 1.028~1.036 0.20以下 400万以下
牛乳 8.0以上 3.0以上 1.028~1.036 0.20以下 5万以下 陰性 63~65 30 10以下
特別牛乳 8.5以上 3.3以上 1.028~1.036 0.19以下 5万以下 陰性 63~65 30 10以下 特別牛乳さく取処理業の許可を受けた施設で処理すること
  1. 1.0 1.1 生乳のみ直接個体鏡検法、ほかは標準平板培養法により計測
  2. 2.0 2.1 殺菌温度は表中と同等、またはこれ以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること
  3. 3.0 3.1 常温保存可能品(牛乳)は、常温(外気温)を超えない温度で保存

成分調整牛乳・加工乳

種類 無脂乳固形分(%) 乳脂肪分(%) 比重(15℃) 酸度(乳酸%) 細菌数[1](1mLあたり) 大腸菌群 殺菌温度[2](℃) 殺菌時間(分) 保存基準[3](℃) 備考
成分調整牛乳 8.0以上 0.21以下 5万以下 陰性 63~65 30
低脂肪牛乳 8.0以上 0.5~1.5 1.030~1.036 0.18以下 5万以下 陰性 63~65 30
無脂肪牛乳 8.0以上 0.5未満 1.032~1.038 0.18以下 5万以下 陰性 63~65 30
加工乳 8.0以上 0.18以下 5万以下 陰性 63~65 30 10以下 原料は殺菌前に混合する
  1. 標準平板培養法により計測
  2. 殺菌温度は表中と同等、またはこれ以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること
  3. 常温保存可能品(成分調整牛乳・低脂肪牛乳・無脂肪牛乳・加工乳)は、常温(外気温)を超えない温度で保存。保存性のある容器に入れ殺菌したものには、保存基準は適用されない

乳製品

クリーム・バター類

種類 乳脂肪分(%) 水分(%) 酸度(乳酸%) 細菌数[1](1mLあたり) 大腸菌群 殺菌温度[2](℃) 殺菌時間(分) 保存基準[3](℃)
クリーム 18.0以上 0.20以下 10万以下 陰性 63~65 30 10以下
バター 80.0以上 17.0以上 陰性
バターオイル 99.3以上 0.5以下 陰性
  1. 標準平板培養法により計測
  2. 殺菌温度は表中と同等、またはこれ以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること
  3. 保存基準は保存性のある容器に入れ殺菌したものには適用されない

チーズ類

種類 乳固形分(%) 水分(%) 細菌数[1](1gあたり) 大腸菌群
ナチュラルチーズ(ソフト) 67以上 100以下[2] 陰性
ナチュラルチーズ(セミハード) 54~69 100以下[2] 陰性
プロセスチーズ 40.0以上 陰性
濃縮ホエイ 25.0以上 陰性
  1. 標準平板培養法により計測
  2. 2.0 2.1 リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)が1g中100以下。容器包装に入れた後、加熱殺菌したもの、または飲食に供する際に加熱するものは、この限りでない

アイスクリーム類

種類 乳固形分(%) 乳脂肪分(%) 水分(%) 細菌数[1](1mLあたり) 大腸菌群 殺菌温度[2](℃) 殺菌時間(分)
アイスクリーム 15.0以上 8.0以上 10万以下 陰性 68 30
アイスミルク 10.0以上 3.0以上 54~69 5万以下 陰性 68 30
ラクトアイス 3.0以上 5万以下 陰性 68 30
  1. 標準平板培養法により計測
  2. 原料は混和後、表中の数値と同等か、これ以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌する。使用水は飲用適の水とする

濃縮乳・練乳類

種類 乳固形分(%) 乳脂肪分(%) 糖分(%) 水分(%) 細菌数[1](1gあたり) 大腸菌群 殺菌温度(℃) 殺菌時間(分) 保存基準(℃) 備考
濃縮乳 25.5以上 7.0以上 10万以下 10以下
脱脂濃縮乳 18.5以上 10万以下 10以下
無糖練乳 25.0以上 7.5以上 0 115以上 15以上 容器に入れた後に表中の温度、時間にて加熱殺菌する
無糖脱脂練乳 18.5以上 0 115以上 15以上 容器に入れた後に表中の温度、時間にて加熱殺菌する
加糖練乳 28.0以上 8.0以上 58.0以下[2] 27.0以下 5万以下 陰性
加糖脱脂練乳 25.0以上 58.0以下[2] 29.0以下 5万以下 陰性
  1. 標準平板培養法により計測
  2. 2.0 2.1 乳糖を含む

粉乳・パウダー類

種類 乳固形分(%) 無脂乳固形分(%) 乳脂肪分(%) 糖分(%) 水分(%) 細菌数[1](1gあたり) 大腸菌群 備考
全粉乳 95.0以上 25.0以上 5.0以下 5万以下 陰性
脱脂粉乳 95.0以上 5.0以下 5万以下 陰性
クリームパウダー 95.0以上 50.0以上 5.0以下 5万以下 陰性
ホエイパウダー 95.0以上 5.0以下 5万以下 陰性
蛋白質濃縮ホエイパウダー 95.0以上 15.0~80.0[2] 5.0以下 5万以下 陰性 製造方法の基準なし
バターミルクパウダー 95.0以上 5.0以下 5万以下 陰性 栄養素添加は厚労大臣の承認を要する
加糖粉乳 70.0以上 18.0以上 25.0以下[3] 5.0以下 5万以下 陰性
調整粉乳 50.0以上 5.0以下 5万以下 陰性
  1. 標準平板培養法により計測
  2. 乳蛋白量(乾燥状態において)
  3. 乳糖を除く

調整液状乳・発酵乳・乳飲料類

種類 無脂乳固形分(%) 水分(%) 細菌数[1](1mLあたり) 大腸菌群 殺菌温度(℃) 殺菌時間(分) 保存基準[2](℃) 備考
調整液状乳 陰性 120 4 常温(外気温)を超えない温度で保存すること
発酵乳 8.0以上 5.0以下 1000万以上[3] 陰性 63 30 発酵乳の原水は、飲用適の水であること
乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上) 3.0以上 1000万以上[3] 陰性 63[4] 30 乳酸菌飲料の原水は、飲用適の水であること
乳飲料 3万以下 陰性 63 30 10以下 常温(外気温)を超えない温度で保存すること
  1. 標準平板培養法により計測
  2. 保存性のある容器に入れ、かつ、120℃で4分加熱殺菌する方法またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法により加熱殺菌すること。ただし、常温保存可能品(調製液状乳・乳飲料)にあっては、この限りでない
  3. 3.0 3.1 乳酸菌数。ただし、発酵させた後において、75℃以上で15分加熱するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌したものは、この限りでない
  4. 原液の希釈水は使用直前に5分間以上煮沸するか、またはこれと同等以上の殺菌をする

乳等を主要原料とする食品

乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%未満)

種類 無脂乳固形分(%) 細菌数[1](1mLあたり) 大腸菌群 殺菌温度(℃) 殺菌時間(分) 保存基準(℃)[2] 備考
乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%未満) 3.0未満 100万以上[3] 陰性 63~65[4] 30 原水は飲用適の水であること
  1. 標準平板培養法により計測
  2. 保存性のある容器に入れ、かつ、120℃で4分加熱殺菌する方法またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法により加熱殺菌すること。
  3. 乳酸菌数。ただし、発酵させた後において、75℃以上で15分加熱するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌したものは、この限りでない
  4. 原液の希釈水は使用直前に5分間以上煮沸するか、またはこれと同等以上の殺菌をする

常温保存可能品の保存に関する規格

  • 常温保存可能品とは、「牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、調製液状乳および乳飲料」を指す。
  • ここでの保存は「30℃±1度で14日間保存または55℃度±1度で7日間保存」したものを指す。
  • 牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、調製液状乳および乳飲料の定める成分規格(上表)を満たすほかに、次に掲げるそれぞれの成分規格にも適合していること。
  1. * アルコール試験:陰性(調整液状乳、乳飲料は除く)
  2. * 酸度(乳酸%):保存前後の差が0.02%以内(調整液状乳、乳飲料は除く)
  3. * 細菌数(標準平板培養法による1mLあたり):0

であること。

このページを版も含めて参考文献として引用する場合は、
日本畜産学会編. "乳等省令 - 畜産用語辞典." Internet: https://animalwiki.yokendo.com/index.php?curid=4918&oldid=9343, 2022-09-02 [2024-12-14].
を使用してください[注 1]
https://animalwiki.yokendo.com/wiki/乳等省令
のようにすると、内容が変更された場合など、正しくない引用となる可能性があるので注意してください。


  1. 一例として、IEEE Citation Style GuideWorld Wide Web 形式
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